2011年2月にスタートした凸版系の電子書籍配信サービス「BookLive」で、イー・アクセス端末に電子書籍の書店の絵文字(アイコン)が最初から表示されます。ITジャーナリストの河瀬大介が電子書籍の現状をルポします。
BookLive、サムスンも
2011年2月に先行してスタートした凸版系のBookLiveでは、一度購入した電子書籍を自分の「本棚」として管理し、パソコン、タブレット端末、スマートフォンなど、最大3台の端末で管理が可能な仕組みを導入している。同様の機能を導入する事例は少なく、差別化につながっているという。またイー・アクセス、サムスン電子などの端末に自社書店の絵文字(アイコン)が最初から表示されるようにして利用者のアクセス向上に工夫を凝らしている。
2011年が電子書籍市場のブレークゾーンか
スマホやタブレット端末の普及を追い風に
スマートフォンやタブレット端末の活況が続く国内市場。凸版印刷系の電子書籍書店サイトであるBooKLive(東京都台東区)の淡野正社長は「第3世代(3G)携帯も年間2000万台を突破したころにコンテンツが拡大した」と指摘。端末の普及が加速する「年末から年度末が電子書籍にとってもブレークゾーンとなる」と見る。
印刷各社は電子書籍書店を相次ぎ開設
本格需要到来を見越し
実際に、本格的な需要到来を見越した印刷各社は、自社系列の電子書籍書店を相次ぎ開設している。
共同印刷はアンドロイド対応の電子書店サイトを開設
医療、ビジネス、法律、趣味、資格に特化した専門書店として展開
共同印刷は米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したタブレット端末に対応した電子書店サイト「自己ガク・アンドロイド版」を8月中に開設する。医療、ビジネス、法律、趣味、資格の5つのカテゴリーに特化した専門書店として展開する。「スマートフォンにも早期に対応したい」(共同印刷)という。
iPhone向けの観光ガイドブック「おでかけBooKGate」
店舗情報検索や地図探索が特徴
廣済堂は米アップルのiPhone(アイフォーン)向けに観光ガイドブックなどの電子雑誌を集めた「おでかけBooKGate」を7月に始めた。雑誌の記事中で気になった店舗の情報を検索したり地図の探索ができたりするなどの利便性でアピールする。
電子書籍と紙の書籍を横断的に検索できる「読むナビ」
コミュニティ機能や読書履歴管理機能も
図書印刷はインターネットで電子書籍と紙の書籍を横断的に検索できる「読むナビ」を7月に開始。今秋には、ユーザー同士が交流できる「読むトモコミュニティ機能」や、読書履歴をサイト上の本棚で管理できる機能などを設けるという。
印刷会社も「選ばれる書店」を競う時代に
イー・アクセスやソフトバンクなど端末メーカーのシェア競いとは別に、印刷会社にとっても「選ばれる書店」を作れるかどうかが問われている。